サーキット走行でのタイヤ空気圧の合わせ方

サーキット走行

サーキット走行でタイヤの空気圧調整が重要って聞いたんやけど、実際、どうやって合わせたらええんやろか?

タイヤの空気圧はセッティングの基本ですからね。

基本的なことについて解説します。

本記事では、サーキット走行におけるタイヤ空気圧の調整方法について解説します。

サーキット走行向けの、いわゆる「スポーツタイヤ」と呼ばれるタイヤの場合について解説しています。エコタイヤやスタッドレスタイヤについては、この通りでないかもしれません。(試したことがない…。)

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タイヤ空気圧変化による影響

そもそも、タイヤ空気圧が変化すると、ドライビングにどういった影響が出るのでしょうか?
推奨空気圧より高すぎる場合、低すぎる場合について、一般的に起きる影響をまとめておきます。

タイヤ空気圧が高すぎると

  • 接地面積が減って、グリップが低下する
    空気圧が高くなると、タイヤのトレッド面(地面に接している面)が丸みを帯びていくため、せっっちする面積が減っていきます。スポーツタイヤのグリップ力は一般的に接地面積に比例するので、グリップ力が低下することになります。
  • タイヤの剛性が高くなる
    要は、タイヤがつぶれにくくなります。結果、路面の凹凸を拾って、クルマが跳ねる動きになり、グリップが安定しなくなります。
    一方、変につぶれない分、ステアリング操作に対するレスポンスはよくなるので、その点ではあえて高めにセッティングするメリットもあります。

タイヤ空気圧が低すぎると

  • タイヤの中央部分が接地しない
    要は、タイヤの角の部分ばっかり使って走る格好になります。ここだけ使って走るようにはタイヤは設計されていないと思うので、タイヤ本来の性能は発揮できないはずです。
  • タイヤの剛性が低くなる
    空気圧が高い場合の逆ですが、荷重移動に対してタイヤがつぶれやすくなるので、ぐにゃぐにゃした挙動になります。
  • タイヤがホイールから外れる
    あまりにも空気圧が低いと、コーナリングでタイヤが変形したときに、ホイールからずれて外れる恐れがあります。

どのくらい変化するのか?

タイヤ空気圧は、タイヤの変形や摩擦による発熱、ブレーキの熱などにより、タイヤ内部の空気が膨張して、圧力が上がっていきます。
しかし、実際にサーキット走行でどのくらい変化するのでしょうか?
これはクルマの駆動方式やタイヤ銘柄、走らせ方、コンディション次第なので、一概には言えないのですが、とある日の私の走行結果では、こんな感じでした。

フロントリア
走行前(冷間)1.7 kgf/㎠1.8 kgf/㎠
走行後(温間)2.2 kgf/㎠2.2 kgf/㎠
気温:23℃
タイヤ:BRIDGESTONE RE-71R
クルマ:インテグラDC5 (駆動方式FF)

0.4~0.5 kgf/㎠は上がるということになります。
よって、これだけ上がることを見込んでタイヤ空気圧を調整していく必要があります。

タイヤ空気圧の調整方法

タイヤ空気圧の具体的な調整方法ですが、2パターンあります。

方法1 走行前は指定空気圧→しばらく走行して指定空気圧まで落とす

とりあえず、走行前の時点では、クルマメーカ指摘の空気圧くらいにしておき、そのまま走行開始します。そのままタイヤが十分温まるまで走行(例えば10分くらい)し、ピットインして空気圧を計測、上昇した分を落として指定空気圧に調整します。

方法2 走行前にあらかじめ空気圧を落としておく

走行前に、走行後の上昇分を見越して、あらかじめ空気圧を落としておきます。
例えば、上記の私の例ですと、フロント:0.5kgf/㎠、リア:0.4kgf/㎠を、狙いの空気圧に対して落としておきます。そうすれば、走っている間に自然と狙いの空気圧になるというわけです。

この方法の注意点としては、あらかじめ落とした状態の空気圧が低すぎると、走行中にタイヤが外れるリスクが増すので、タイヤが温まるまではあまり負荷をかけすぎないように注意が必要です。

あと、そもそもですが、自分が走行したときにどのくらいタイヤ空気圧が上昇するのか、あらかじめデータ取りしておくことが必要です。

タイヤ空気圧調整に便利なアプリ

走行会でもサーキットの走行枠でも、せっかくの走行時間は無駄にしたくないですよね。あらかじめ調整を済ませておける方法2「走行前にあらかじめ空気圧を落としておく」にはメリットがあります。
しかし、走行後の空気圧上昇を覚えておかないといけないし、少し面倒…。

そこで、便利なアプリを作りました!
「サーキット走行のためのタイヤ空気圧計算機」

モータースポーツのためのタイヤ空気圧計算機 - Google Play のアプリ
冷間タイヤ空気圧をいくらにすれば目標の温間タイヤ空気圧になるかを計算します

とりあえずAndroid版のみのリリースです。そこそこ需要がありそうでしたら、iOS版も作りたいと思います。

使い方

補正情報の入力(初めて使うとき)

ここはどうしても必要な作業になってしまうのですが、1度は実際に走行して、どれだけ空気圧が上昇するかデータ取りが必要です。気温、走行前の空気圧、走行後の空気圧を計測して、設定画面の補正情報に入力してください。
これらの情報から、タイヤの上昇温度を計算します。以降、この情報を元に、タイヤ空気圧の上昇を計算します。

大幅にクルマのセッティングが変わったり、タイヤの銘柄が変わったりした場合は、上昇温度が変わる可能性があるので、適宜補正情報を修正してください。

一方、季節によってタイヤの最終到達温度はそれほど変わらないはずなので、気温変化による見直しは不要です。

気温、目標のタイヤ空気圧を入力

メイン画面にて、当日の気温、目標のタイヤ空気圧を入力してください。

温度計を持ってない場合でも、オンラインの天気情報から現在地の気温を取得できるようになっています。

入力すると、走行前に設定する冷間タイヤ空気圧が表示されます。

ぜひご活用ください!

計算内容ですが、単純にボイル・シャルルの法則に従って計算しています。細かい話をすると、空気圧変化は気温だけでなく、タイヤ内の水蒸気量や、圧力上昇によるタイヤの変形量も影響してくるのですが、測りようがないですし、せいぜい数%くらいの影響しかないので、無視しています。

まとめ

タイヤの空気圧の合わせ方について解説しました。

  • タイヤ空気圧の変化により、グリップや剛性に影響がある
  • 走行により、0.4~0.5kgf/㎠くらい上昇する
  • 調整方法は2パターン
    方法1 走行前は指定空気圧→しばらく走行して指定空気圧まで落とす
    方法2 方法2 走行前にあらかじめ空気圧を落としておく
  • タイヤ空気圧調整に便利なアプリを活用

タイヤ空気圧の調整は、お金もかからず簡単でありながら、重要なセッティングでもあるので、ラップタイム向上のためにはぜひ意識したいところです。

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