【初心者向け】カートで強く短いブレーキは本当に速いのか?

カート

カートのテクニックで、ブレーキングは強く・短く、ってよく言われるけど、やってみたらスピンばっかりして全然うまくならへん…。

私も始めたころは、そうでした。

私は約10年ほどレンタルカートやレーシングカートを乗ってきましたが、よくテクニックとして出てくる「強く短いブレーキング」は本当に速いのか?という疑問を抱いてきました。

結論、カートのブレーキングはがんばらなくていい(特に初心者は)、というのが私の意見です。

四輪の場合はまた事情が違ってくるので、機会があれば取り上げたいと思います。

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ブレーキは強く短くというアドバイス

ネットで「カート ブレーキング」とかで検索すると、よく出てくるのが「ブレーキングは強く短く!」というアドバイス。
過去、レンタルカートの世界大会などを開催していたレッドブルの記事でも、初心者が犯しがちなミスとして「ブレーキを踏む力が弱すぎる」というのがあげられています。

しかし、いざ実践してみると、すぐにタイヤがロックしてしまったり、スピンしてしまったりと、ますます運転が難しくなってしまうと思います。

「ブレーキングは強く短く」というアドバイスについて、これは究極的にはウソではないのですが、初心者ほどメリットよりもデメリットの方が上回ってしまい、初心者向けのアドバイスではないというのが私の意見です。

強く短いブレーキのメリット2つ

それでは、なぜ強く短いブレーキがよく推奨されているのか?
まず、強く短いブレーキのメリットを2つ挙げます。

ブレーキング勝負で勝つ

ぶっちゃけ、強く短いブレーキテクニックが功を奏する可能性があるのは、レースでバトルになった時のブレーキング勝負くらいと思います。
レースでは相手より前に出てフィニッシュするのが全てですから、少しでもブレーキを遅らせて相手より前に出るのはオーバーテイクのテクニックとしては常套手段です。

制動距離を縮めてタイムを削る

制動距離が縮まる分、制動動作に入るまでのアクセルON区間が長くなるので、その分ラップタイムを縮めることができます。

ただ、たいていの場合、次に述べるデメリットの方が大きくて、それに見合わないくらいのゲインしかないと私は思います。

強く短いブレーキのデメリット2つ

次に、強く短いブレーキのデメリットを2つ挙げます。

挙動が不安定になる

強くブレーキを踏むと、一気に荷重がフロントに寄ります。その分、リアの荷重が抜ける形になります。
荷重がフロントに寄るのは、そのあとコーナリングでフロントタイヤのグリップを稼ぐためにある程度は必要なのですが、度が過ぎると、今度はリアタイヤのグリップが失われて、極端な話、空回り状態に状態になります。
この状態ですが、わずかでもステアリングが切れていたら、車体はそっちの方向にスピンする挙動となります。初心者ほどコーナリングの最後までステアリングの舵角が残りがちなのでこの挙動に陥りやすいですし、スピン挙動を察知してコントロールすることも難しいです。

コーナリング立ち上がりの加速が遅れる

上記の続きになりますが、一度フロントに寄った荷重は一瞬では元に戻りませんし、一度空回りしたタイヤのグリップもすぐには回復しません。
コーナリング後、速く加速するためにはコーナリングの途中からアクセルを踏み始める必要がありますが、極端にフロントに荷重を寄せてしまうと、その分リアに荷重がかかっていない期間が長くなるので、アクセルを踏んでも空回りを助長するだけで加速しないわけです。

コーナーの立ち上がりで上級者に置いて行かれる…。これはマシンの調子が悪いのではなく、上記のようにエンジンのパワーをうまくリヤタイヤに伝えて加速できていないということががほとんどです。

ゆるゆるブレーキ

私が初心者にこそ推奨したいのが、「強く短いブレーキ」とは対極にある、「ゆるゆるブレーキ」です。

どんなブレーキングかというと、その名の通り、ブレーキを緩く踏んでください。
その分、当然制動距離は伸びるので、いつもよりも早めにブレーキングを開始してください。

考え方としては、強く短いブレーキのデメリットを極限まで抑える、ということです。

だまされたと思ってやってみると、初心者ほど、ブレーキを頑張った時とタップタイムが変わらないか、むしろ速く走れると思います。

ゆるゆるブレーキの究極系として、そもそもブレーキを一切使わずに走るという練習方法もあります。

カートの場合、ステアリングを切るだけで、その抵抗で減速します。これをステアリングブレーキといいます。ステアリングを少し切った状態でカートを押してみてください。なかなか前に転がらないのが体感できると思います。

ブレーキングに苦手意識がある方は、まずはステアリングブレーキだけで走ってみて、これでスムーズに走れるようになったら、徐々に脚のブレーキを加えていく、という練習もおすすめです。

私がゆるゆるブレーキ派になったきっかけ

私がゆるゆるブレーキ派になったきっかけですが、とある日のレンタルカートでの実体験に基づきます。

地元のサーキットで、私よりもカート歴の長くて速い方と一緒に走る機会がありました。
その方の後ろにぴったりついて走る状況になったのですが、そこで気付いたのが「え、そんな手前から?」というくらい、ブレーキング開始が早く、減速も緩やかだったのです。しかし、その後のコーナーからの立ち上がりは圧倒的に相手の方が速く、じわじわ差を広げられました。

このときから、下手にブレーキングでがんばるよりも、いかにリアタイヤのグリップを失わずに走るか?ということに重点を置いて走るようになりました。

ゆるゆるブレーキでよい理由

ゆるゆるブレーキについていろいろ書こうと思いましたが、私が言いたいことを完ぺきに代弁していただいている方がいらっしゃいましたので、そちらの動画を引用させていただきます(笑)

この動画でも言われていますが、「カートのブレーキは曲がるためのきっかけを作るため」「きっかけを作るにはそんなに強いブレーキングは必要ない」、これに尽きると思います。

実際にゆるゆるブレーキで急成長した方も

私が中国に駐在しているとき、現地の日本人仲間でよくカート場に行っていたのですが、私より経験の浅い方ばかりで、私が教える立場でした。
やはり、みなさん、最初はブレーキをがんばらないと!という意識があって、強めのブレーキで挙動が乱れまくっていました。そこで、私からゆるゆるブレーキを伝授し、修行を続けてもらった結果、カートを初めて1年くらいで現地のレースで上位で戦えるくらいの実力まで成長された方もいらっしゃいました。

まとめ

カートで強く短いブレーキは本当に速いのか?について考察しました。

  • 強く短いブレーキは、オーバーテイクのテクニックとしては有効だが、挙動が不安定になって立ち上がりの加速が遅れるデメリットもある
  • 初心者にこそ、ゆるゆるブレーキがおすすめ

カートのタイムがなかなか改善しなくてお悩みの方は、ブレーキングを見直してみてはいかがでしょうか?

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