サーキット走行といっても、公認のレースに出るつもりはないから、バイク用のヘルメットとカート用グローブ着けてたら大丈夫よねー
最低限はそうだけど、できれば走行会ドライバーでも揃えておきたい安全装備があります。
本記事では、走行会ドライバーでもできれば揃えておきたい安全装備として、HANSデバイスを紹介します。ドライバーが身に着ける装備の中では、地味に優先度1位といっても過言ではないです。
HANSデバイスとは
HANS(Head And Neck Support)デバイスとは、モータースポーツで頭部と首を守るためのアイテムです。
事故時、クルマが急減速すると、反動でドライバーの頭は前方に強く動きます。このとき何も支えがないと首が急激に伸びて、頚椎を痛めることになります。
HANSデバイスは、頭部の動きを制限することによって、首が伸びるのを防いでくれます。
仕組みですが、後頭部から肩にかけての土台の部分を4点ハーネスで締め上げ、土台とヘルメットをハーネスでつなぐことによって、このハーネスの長さの範囲でしか頭を動かないようにします。
走行会ドライバーにもHANS着用をおすすめする理由2つ
現在、JAFの公認レースなどではHANSデバイスの装着が義務付けられています。
しかし、公認レースに出るつもりのない走行会ドライバーにもHANSデバイスはぜひ装着することをおすすめします。その理由を2つ挙げます。
非着用で事故った時のダメージが半端ない
事故った時にドライバーの身体がどうなるか、HANSデバイス非装着時と装着時で実験している動画があったので紹介します。
見ていただいたら分かる通り、HANS非装着の場合は、ヘルメットごと頭部が前方に投げ出される形になります。動画はスローですが、実際にはこれが一瞬で起きるわけです。頭の重量+ヘルメットの重量も合わさって、相当な衝撃が頚椎に加わっているはずです。(想像するだけで痛々しいですね…。)
損傷した頚椎は治らないので、最悪、一生半身不随になってしまうこともあり得ます。
クルマ遊びで人生棒に振るなんて、考えたくないですよね…。
素人だからこそ事故る可能性がある
HANSデバイスのお世話になるようなクラッシュは、何もF1やスーパーGTのようなプロクラスのレースだけの話ではありません。軽自動車でも130km/hくらいは出ますが、もしそのままコンクリートの壁に突っ込んだら、十分命にかかわるレベルのインパクトはあります。
プロのレーサーであれば、仮にそういう危ない状況になりそうでも回避、もしくは衝撃を和らげる方向にクルマをコントロールできるかもしれませんが、経験が浅いほど何も対処できずクラッシュするリスクが高いです。
よって、HANSは素人にこそ必要なアイテムと言えます。
HANSの選び方
HANSデバイスの選び方ですが、観るポイントは2つだけです。
角度
まず角度ですが、使用環境に応じて、20°タイプと30°タイプがあります。
20°タイプは、たいていのツーリングカーや、それに搭載されるバケットシートであれば、こちらを選択することになると思います。
30°タイプは、フォーミュラーカーなど、より寝そべったポジションで使用するように設計されています。ツーリングカーでも、背もたれが寝ているタイプのシートの場合はこちらの方が適してる場合があります。
重量
あとは重量です。運転中に方に乗っかっているものなので、軽いに越したことはないのですが、軽さによってだいぶお値段が変わってきます。
品名 | 重量 | 価格 |
---|---|---|
CLUB | 950g | ¥50,000 |
CLUB3(HANS3) | 760g | ¥60,000 |
ULTIMATE | 560g | ¥235,000 |
例えば、こちらのCLUBというエントリーモデル。
重量950gで、価格は¥50,000です。
一方、こちらのハイエンドモデル、ULTIMATEは重量560g。素材をフルカーボンにすることで軽量化されています。しかし、価格は¥235,000!
重量と価格のバランスがよいモデルとして、私はCLUB3(もしくはHANS3)をおすすめします。
どちらも重量は760g。価格は¥60,000くらいです。
エントリーモデルとの価格差は¥10,000だけですし、こちらの方が後頭部に接する部分が穴になっている分、装着時に多少ヘルメットの納まりもよいので、おすすめです。
私はHANS3を使っています。
これまで耐久レースで2時間以上連続でこれを装着して走ったことがありますが、運転中に特に重さを気にすることはなかったです。
よって、重量に関しては、究極に総重量を気にするような状況でなければ、CLUB3またはHANS3で十分問題ないかと思います。
ヘルメットにアンカークリップを取り付ける必要あり
さて、HANS本体とあわせて忘れてはいけないのが、ヘルメット側の加工です。HANSデバイスのハーネスを取り付けるためのアンカークリップと呼ばれる部品を取り付ける必要があります。
こちらはFIA8858-2010以降の規格のヘルメットであれば、ヘルメットにあらかじめ取付穴が加工されているので、自分で取り付けることができます。
もしこれから四輪用のヘルメットを購入するとか、アンカークリップの取付が面倒という人の場合、あらかじめアンカークリップが取り付けられているヘルメットを選択するのもおすすめです。
こちらのSparco AIR PRO RF-5Wというモデル(私も愛用しています♪)は、最初からHANSのアンカークリップが取り付けられているので、別でクリップを買ったり取り付けたりする面倒がないです。
まとめ
- 走行会ドライバーでもHANSデバイスの装着がおすすめ
- HANSを選ぶポイント
– 角度 …ツーリングカー用は20°
– 重量 …重量と価格のバランスが良いCLUB3もしくはHANS3がおすすめ - ヘルメットにアンカークリップの取付が必要
– 最初からアンカークリップが付いているモデルもある
HANSデバイスはひと昔前はちょっと高くてなかなか手が出し辛かったのですが、数年前から一気に価格が落ちて入手しやすくなりました。安心してサーキット走行を楽しむためにも、是非とも着用しておきたいアイテムです。