ECUチューニングって、実際サーキットでどれくらい速くなるんかなぁ?
実際にサーキット走行で検証してみました!
ECUチューニングは、エンジン制御ユニット(ECU)のプログラムを変更することで、エンジンのパフォーマンスを改善する方法です。
最適なパフォーマンスを得るためには吸排気系も含めたチューニングが必要ですが、ECUプログラムの変更自体は大きなパーツ交換を伴わないため、ある意味手軽に試せるチューニングと言えます。
ECUチューニングによってスペック上の数値は確実に上がるでしょうが、サーキット走行を楽しむ者としては、実際にラップタイムがどれだけ短縮できるのかが気になるところではないでしょうか?
ということで、本記事では、実際にサーキット走行で、ECUチューニング前後でどれだけタイムが変わるのかを検証したいと思います。
検証するクルマ
検証に用いるクルマは、私の愛車、ホンダ インテグラTypeR(DC5)です。
エンジンはノーマル、エキマニはマキシムワークス、マフラーはフジツボのRM-01Aを装着しています。
直接パワーに影響するチューニングはこれだけです。
本来ECUチューニングは、エキマニやマフラーなど吸排気系のパーツに合わせて行うものです。
今回検証に用いる無限ECUも、無限の吸排気システムに最適化されているはずですが、今回はあえてECU以外の部分はそのままで、ECU単体を交換してどのくらい効果があるのかを検証したいと思います。
検証するECU
検証に用いるECUですが、今回はインテグラTypeR(DC5)のノーマルECUと、無限のワンメイクレース用ECUを比較します。
ノーマルECUと無限ECUの主なスペックの違いは下表の通りです。
ノーマルECU | 無限ECU | |
---|---|---|
レブリミット | 8400rpm | 8600rpm |
VTEC切替回転数 | 6000rpm | 5250rpm |
O2センサー補正 | あり | なし |
ノーマルECUに比べて無限ECUはレブリミットが200rpm上がっており、より高回転まで回すことができます。
また、VTECが高速側に切り替わる回転数が750rpm下がっており、より早いタイミングでVTECに切り替わることにより、サーキット走行においてエンジンのパワーバンドを外しにくい設定となっています。
その他、燃料の噴射時間や点火タイミングがレース専用の設定となっているようです。
以上の通り、スペック上は明らかに無限ECUの方が速く走れそうですが、果たして実際にサーキット走行したときに、どれほどの違いが出るのかを検証します。
検証結果
検証の舞台は、セントラルサーキットです。
ノーマルECUと無限ECUで1枠ずつ走行し、それぞれのベストラップを比較します。
まずはノーマルECUでの走行です。
ベストラップは1分30秒945(DigSpice計測)でした。
次に、無限ECUに交換してからの走行です。
ベストラップは1分29秒928(DigSpice計測)でした。
結果、無限ECUに交換するだけで、1.017秒速くなりました。
ラップタイムの比較だけだと、クルマの性能ではなく、ドライビングの差の可能性もあるので、それぞれのベストラップのGPSログを比較します。
ノーマルECUと無限ECUで、GPSロガーで計測した速度グラフを比較した結果はこのようになりました。
赤:無限ECU 1分29秒928
青:ノーマルECU 1分30秒945
全体的に赤の無限ECUの方が、青のノーマルECUに比べて速度が高い区間が多く、確実にパワーが出ていることがわかります。
もう少し詳しく見ていきます。
まずは2,3コーナー立ち上がりからバックストレートの区間。
赤の方がコーナーのボトムスピードを落とし過ぎてしまいましたが、そこからの速度の立ち上がりが急になっています。
立ち上がりで稼いだ速度が、そのままストレートエンドの最高速度にも反映される形になっています。
このバックストレートがセントラルサーキットで最高速度が記録されるポイントになりますが、
ノーマルECU:181.51km/h
無限ECU:185.51.km/h
と、無限ECUの方が4km/h速い結果となりました。
次に、4,5コーナーからの立ち上がりの区間です。
ここは4コーナーでボトムスピードを迎えた後、5コーナーを曲がりながら傾斜を登る形となっており、パワーがないクルマにとってしんどい区間です。
ノーマルECUではちょうどその登りに差し掛かったところで速度の伸びが停滞していますが、無限ECUでは何事もなかったかのように速度が立ち上がっています。
続いて9コーナー。
ここはセントラルサーキットで2番目に速度が落ちるコーナーですが、ここも無限ECUの方がボトムスピードからの速度の立ち上がりが急になっています。
最後は最終コーナー。
ここはセントラルサーキットで最も速度が落ちるコーナーですが、他のコーナー同様、無限ECUの方が急激に速度が立ち上がっています。
3速、4速に入ってからの加速も、無限ECUの方が伸びています。
ホームストレートの速度差は、そのまま次のラップの1コーナーまでのタイム差にもつながるため、ここの差もラップタイムへの影響が大きいですね。
まとめ
インテグラTypeR(DC5)で、ノーマルECUと無限ECUを交換して、セントラルサーキットを走行し、ECUチューニングの効果を検証しました。
ECUの交換自体は5分もあればできてしまいますが、これだけでラップタイムが1秒も稼げてしまうほどクルマが速くなるのは驚きですね。
ただし、ECUチューニングはECU自体が高価なのに加えて、吸排気システムも含めた現車合わせのセッティングまで行うのであれば、さらに費用がかかるため、費用面ではなかなか気軽にできるチューニングではないかもしれません。